【商標Q&A:フィリピン】Q19. マドプロ出願の注意点はありますか?

A: フィリピンでは国内申請の際に商標の使用宣言書(DAU)の提出が義務付けられています。これはマドプロを経由した国際出願でも必要とされているので注意が必要です。

また、海外での商標登録においてマドプロ出願は非常に有用な制度ですが、デメリットがあります。国際登録してから5年間は登録が本国出願又は登録に従属しているので、本国出願又は登録が拒絶、取り下げ、放棄又は無効になった場合、国際登録も取り消されることになります。これをセントラルアタックといい、この場合、国際登録取り消し後3ヶ月以内であれば、出願人は指定国毎の国内出願に変更することができます。その場合、国際登録日に出願が行われたものとみなされます。

【商標Q&A:フィリピン】Q18. 商標登録の費用はいくらかかりますか?

A: フィリピンにおける商標登録費用は、大規模企業であるか小規模企業であるかによって異なります。大規模企業の定義は総資産額が1億PHP以上であることです。なお、優先権を主張するときなどには下記以外の費用がかかります。

  • 出願料(1区分ごと):2,592PHP (小規模:1,200 PHP)
  • 色彩の主張(1区分ごと): 600 PHP(小規模:280 PHP)
  • 公告: 960 PHP(小規模:900 PHP)
  • 登録料 1,200 PHP(小規模: 570 PHP)
  • 使用宣言書提出(3年目分) 1,920 PHP(小規模: 900 PHP)
  •  再公告: 960 PHP(小規模: 900 PHP)

【商標Q&A:フィリピン】Q17. フィリピンにはどのような知的財産関連法がありますか?

A: フィリピンには主に以下のような知的財産関連法があります。

・知的財産法(特許、商標、著作権、実用新案、意匠、技術移転に関する項目が含まれています)

・フィリピン競争法(Philippine Competition Act)

・ジェネリック医薬品法(Universally Accessible Cheaper and Quality Medicines Act)

・個人財産保護法(Personal Property Security Act)

・サイバー犯罪防止法(Cybercrime Prevention Act)

・映画等盗撮防止法(Anti-Camcording Act)

・フィリピン技術移転法(Philippine Technology Transfer Act)

・光メディア法(Optical Media Act)

・食品医薬品局法(Food and Drug Administration Act)

・フィリピン植物品種保護法(Philippine Plant Variety Protection Act)

・マネーロンダリング防止法(Anti-Money Laundering)

・電子商取引法(e-Commerce Act)

・偽造医薬品特別法(Special Law on Counterfeit Drugs)

・消費者法(Consumer Act)

・食品、医薬品及び機器、化粧品法(Foods, Drugs & Devices, and Cosmetics Act)

・正式に刻印及び表示された容器の使用に関する法(Use of Duly-Stamped and Marked Containers)

【商標Q&A:フィリピン】Q16. フィリピンで商標を登録したい場合はどのような手続きを行えばいいですか?

A: 日本国内で商標登録されているか否かにかかわらず、海外で商標登録を希望する場合はマドリッド・プロトコル(一般的に「マドプロ」と言われています)を通じた国際出願も視野に入れて検討すると良いでしょう。マドプロとは日本の特許庁から世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization=WIPO)に国際出願を1件行うだけで様々な国における商標登録を迅速かつ円滑に進められるようにする条約です。2019年4月時点において、フィリピンも含めた104ヶ国がマドプロに加盟しています。

フィリピンにおける商標登録を希望する場合、マドプロ経由の国際出願としてフィリピンを指定します。フィリピン知的財産権庁(Intellectual Property Office of The Philippines=IPOPHL)はWIPOから通知を受けると国内の商標出願と同様に商標の実体審査を行います。その後、拒絶理由などがなければ、フィリピンにおける商標の保護が認められた旨の書面をWIPOに送付します。保護付与の書面は登録証と同じ効果を有します。

また、更新手続きについてもWIPOで一括して行え、各国毎に手続きをする煩雑さがないことも国際登録のメリットといえるでしょう。

【商標Q&A:日本】Q25. 国際登録するための流れを教えてください

A: 国際登録は所定の様式に必要事項を記入し、商標権を取得したい国を指定した上で日本の特許庁を通じ世界知的所有権機関World Intellectual Property Organization=WIPO)国際事務局に対する申請を行うことができます。

特許庁にて方式審査が行われ、不備等がない場合は特許庁からWIPO国際事務局に申請書が送付されます。

WIPO国際事務局における審査が完了した後、国際登録に関する全情報の記録簿である「国際登記簿」に記録され「国際登録証(CERTIFICATE OF REGISTRATION)」が郵送されます。

その後、指定国における審査が開始されます。保護が認められれば国際登録日から10年間が権利機関として保護されます。保護が認められない場合にはWIPO国際事務局が指定国としての通知を送付した日から1年(国によっては18カ月)以内に「暫定的拒絶通報(PROVISIONAL REFUSAL)」がWIPO国際事務局経由で出願人に送付されます。

【商標Q&A:フィリピン】Q14. 商標登録をすることによってどんな権利が得られますか?

商標権者には、他人がいかなる方法でもその商標を、商標権者の許諾なく使用することを防ぐための排他的権利が与えられます。

なお、フィリピン商標法では以下の2種類の権利侵害が規定されています。

  1. 登録商標権侵害:登録された商標と類似又は同一の標章又は包装箱を用いること
  2. 著名商標侵害:著名商標との関連性を示すような標章の使用(登録された著名商標とは異なる指定商品・役務であっても権利侵害となり得ます)

【商標Q&A:フィリピン】Q13. 登録商標が取り消されることがありますか?

A: あります。以下が取消事由となります。

  1. 不使用取消制度:商標登録より3年間使用されていない場合、第三者の請求により登録が取り消されます。
  2. 無効・取消請求:商標が登録要件に反して登録された場合はいつでも登録の無効・取消を請求することが可能です。なお、先行商標との同一性・類似性を理由とする場合には登録から5年間経過した後の請求は認められません。