【商標Q&A:日本】Q6. 商標登録できるもの又はできないものはありますか?

Q6. 商標登録できるもの又はできないものはありますか?
A: あります。以下、それぞれご説明します。
商標登録するには以下の条件を満たしている必要があります 。
(1) 同一・類似した商標が登録されていないこと
(2) 明確な特徴があること
(3) 商品を誤解させないこと
(4) 公益に反しないこと

また、商標登録ができないものとしては以下のようなものが挙げられます。
(1) 自己と他人の商品・役務(サービス)とを区別することができないもの
(2) 公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反するもの
(3) 他人の登録商標や周知・著名商標等と紛らわしいもの

【商標Q&A:日本】Q5. 商標はどんな役割を果たしますか?

A: 登録商標は以下の4つの機能 を果たします。
(1) 「自他商品識別機能」 自分の商品等と他人の商品等を区分する機能
(2) 「出所表示機能」 同一の商標を付した商品等は常に一定の出所から流通されていることを示す機能
(3) 「品質保証機能」 同一の商標を付した商品等は、同一の品質を有していることを示す機能
(4) 「宣伝広告機能」 商標によって自分の商品と、他人の商品の差別化をはかり、需要者に自分の商品を買いたいという意欲を起こさせる機能

【商標Q&A:日本】Q4.商標を登録することのメリットは?

A: 商標を登録することのメリット として主に以下のようなものが挙げられます。
(1) その商標を自分だけが独占的に使用できる
(2) 他社は同一の商標だけでなく、よく似た商標も使用できなくなる(指定商品・指定役務について独占することができる)
商標登録をして商標権者になると、以上のように商品やサービスなどに同じ商標又は紛らわしい商標を使用している人がいた場合、その使用を差し止めることができるようになります。相手が差し止め勧告を無視して商標の使用を続けている場合には損害賠償請求も可能になります。

【商標Q&A:日本】Q2.商標を登録するとはどういうことですか?

A: 商標を登録することで商標権が生まれます 。
商標権というのは「マーク」及び「使用する商品・サービス」のセットで登録されることが必須であり、マークだけを登録するものではありません。
商標権が発生した商標を登録商標といい、商標登録を先にしてしまえば他人はその名称を使うことができなくなります。

【商標Q&A:日本】Q1. 商標とはなんですか?

A: 商標とは文字、図形、記号、立体的形状やこれらの結合(標章)のうち、業として商品・役務(サービス)に使用されるものをいいます。「誰が作った商品なのか」「誰が提供しているサービスなのか」を表すマークのことで、以下の2点を満たすものを指します 。
(1)事業者が使用するマーク
(2)事故の商品・サービスと他人の商品・サービスを区別するために使用するマーク

~TPP11に伴う日本の著作権法改正④~

TPP11に伴う日本の著作権法改正?TPP11に伴う日本の著作権法改正?TPP11に伴う日本の著作権法改正?に続く、最終回の今回は海賊版対策の一方、利活用の視点も重要であることにフォーカスして述べていきます。

著作権法の改正には、大きく2つの流れがあります。1つは著作権を強化するものであり、今回の改正や海賊版対策などがその一例です。もう1つは著作権を制限し、利用促進を図るものであり、2019年1月1日に施行された「権利制限規定の拡充」などがそれにあたります。

海賊版対策については、18年にサイトブロッキングの導入が議論されましたが、「通信の秘密」が侵害されるなどの強い反対意見もあり、立法化には至っていません。また、静止画ダウンロードの違法化については、違法化の対象が「海賊版」から「著作物全般」のダウンロードに拡大され、専門家や世論の反対も強まったことから、見直し協議がなされています。「アクセス警告方式」についても、懸念が示されています。

方法論についての検討は必要ですが、海賊版のように違法性が高い行為に対しては、規制強化が必要でしょう。さもなくばコンテンツの作り手が減少し、ひいては利用者もコンテンツを享受できなくなるといった悪循環が生じ得るからです。

一方、著作物の利活用の観点からは、権利処理を容易にし、あるいは、権利処理が必要な場面を限定していくことも必要です。著作権を強化していくことには弊害もあり、今後は、こうした利活用の視点がより重要となっていくことでしょう。両者のバランスを保てるような取り組みが望まれるところです。

~TPP11に伴う日本の著作権法改正③~

TPP11に伴う日本の著作権法改正?TPP11に伴う日本の著作権法改正?に続き、法改正による権利処理難化という副作用について以下に述べます。

保護期間の延長に伴う影響の一例としてインターネットの電子図書館、青空文庫が挙げられます。同文庫では、1万1000点を超えるPD作品を電子化し、無償提供しています。専用アプリのほか、電子書籍リーダーでも閲覧できます。2019年1月にPD化予定の作品の公開準備を進めていたようですが、今回の改正により、公開が20年先延ばしとなった作品も少なくありません。読者が作品を無償で閲覧できないばかりか、二次利用にも影響が及び得る事態となっています。

一方、日本が保有する様々なコンテンツの横断検索ポータルとして、ジャパンサーチの開発が進められています。正式公開は2020年の予定ですが、現在のベータ版でも約79万点のコンテンツの横断検索が可能です。権利処理が容易となれば、さらなるコンテンツの拡充も期待できるでしょう。

保護期間の延長や一部親告罪化といった著作権の延長・強化により、一部の著作物については、著作権者の収益増加が期待できることは言うまでもありません。しかし一方で、保護期間の延長により、無許諾で利用できる著作物は相対的に減少します。そればかりか、孤児著作物の増加とそれに伴う権利処理の難化という副作用も懸念されています。

時間の経過とともに、著作権者やその所在が不明な作品は増加する上、著作権者の死亡によって相続人に権利が分散するなど、権利関係も複雑化していきます。許諾を得るために著作権者の連絡先の調査、連絡・交渉なども必要となるでしょう。 著作物は利用されてこそ意味があります。利用されない著作物は消えゆく運命であり、著作者もそれは望んでいないはず。権利を守る傍ら、著作物の利活用を図るため、権利処理を容易にする仕組み作りもまた必要ではないでしょうか。

~TPP11に伴う日本の著作権法改正②~

前回の?TPP11に伴う日本の著作権法改正??で述べた改正点において、懸念が特に強かった点につき以下に補足します。

保護期間の延長

保護期間の延長についての改正は、施行時点(2018年12月30日)において保護期間満了前の著作物などを対象としています。例えば2018年には山本周五郎の作品がパブリック・ドメイン(PD)となりましたが、著作権は復活しません。一方、2019年には藤田嗣治、21年には三島由紀夫の各作品のPD化が予定されていましたが、これらの作品のPD化は20年先延ばしとなりました。

また米国、カナダ、オーストラリアなどとの関係では、著作権の保護期間は最長で、3794日(約10年5カ月)加算され、著作者の死後約80年5カ月までとなります。これは「戦時加算」(第2次大戦の戦勝国の著作物について、大戦中の著作権者の利益回復のため、戦時期間を著作権の保護期間に加算する制度)によるものです。日本ではTPPの交渉中、「保護期間の延長は、戦時加算の撤廃を条件とすべき」との意見もありました。しかし、戦時加算はサンフランシスコ平和条約上の義務であることから撤廃は容易ではありませんでした。

著作権等侵害罪の一部非親告罪化

著作権等侵害罪の一部非親告罪化については、刑事罰を恐れて二次創作が萎縮するといった懸念が寄せられ、その結果として二次創作やパロディは非親告罪化の対象外とされました。ただ、これらは適法化されたわけではなく、従来どおり親告罪とされています。

日本では従来、二次創作やパロディについては、著作権者が黙認(見て見ぬふり)してきましたが、刑事告訴が行われ、刑事手続の対象とされるリスクは依然残されています。

~TPP11に伴う日本の著作権法改正①~

2018年12月30日、環太平洋11カ国におけるモノ、サービス、投資等の自由化を目的として、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(通称 TPP11)が発効し、これに伴い、同日、日本の著作権法が改正されました。

今回の著作権法改正は5項目であり、概して著作権の保護強化を図るものです。
デジタル化の進展に対応するため、アクセスコントロールの回避規制や配信音源の二次使用に対する報酬請求権などについて、また、やや小規模な制度拡充に留まりはしましたが、法定損害賠償制度についても制度拡充が図られました。

(1) 保護期間の延長
著作権の保護期間は、原則「著作者の死後50年まで」から、原則「死後70年まで」に延長されました。また、実演家やレコード製作者の権利の保護期間も、同様に、50年から70年に延長されています。なお、映画の著作物の保護期間は、従前どおり「公表後70年まで」です。

(2) 著作権等侵害罪の一部非親告罪化
著作権侵害は刑事罰の対象です。法定刑としては他国と比べても重いものです。しかし、親告罪であって、刑事裁判を行うには、著作権者等による刑事告訴が必要でした。今回の改正では、海賊行為のような正規品市場に影響のある罪質が重い行為について非親告罪化されました。

(3) 法定損害賠償制度
著作権を侵害された著作権者は、侵害者に損害賠償請求できます。著作権者はその際、損害額の立証が必要ですが、立証は容易ではありません。このため、立証負担の軽減を目的として定められる、損害額の推定または算定に関する規定が1つ増え、侵害された著作物が著作権等管理事業者(JASRAC、NexToneなど)により管理されている場合には、その使用料規程を損害額の算定に利用可能とされました。

(4) アクセスコントロールの回避規制
著作物の無断複製・利用を防止する保護技術には、?音楽、映像、ゲーム等の著作物の無断複製を防ぐ技術的手段(コピーコントロール)、?衛星放送のスクランブルのような、著作物の視聴等を制限する技術的手段(アクセスコントロール)などがあります。改正前は、コピーコントロールの回避のみが規制対象でした。しかし、今回の改正でアクセスコントロールの回避も規制対象となりました。

(5) 配信音源の二次使用に対する報酬請求権
放送事業者がCDを利用してテレビ・ラジオ放送を行う場合には、日本レコード協会や日本芸能実演家団体協議会が放送事業者から音楽使用料などをまとめて受取り、レコード会社、歌手、演奏家等に分配しています。改正前は、レコード会社や実演家には、CD等の媒体が利用された場合に限り二次使用料が支払われていましたが、今回の改正で配信音源も二次使用料の対象に加えられました。