【ミャンマー】既存商標の優先登録手続きに必要なものは?

ミャンマーでのビジネス展開を考えるなら、優先登録期間の開始と同時に出願できるよう今のうちに準備しておくのが得策です。

というのも、先にその商標を使っていた者に権利を認めるという「先使用主義」に立脚する登録法下の商標登録を長らく行ってきたミャンマーですが、商標法施行後は先に出願した者に権利を認めるという「先願主義」へ移行することになるからです。

これは制度上の大きな変更なのでしばらく混乱が生じるかもしれません。例えばどさくさに紛れて、本来権利を認められない者が棚ぼた的な権利を得たり、本来権利を得るべきであった者が損害を被ったりというようなことです。このような事態を避けるため、移行前後の橋渡し的制度として「既存商標の優先登録」制度が設けられます。

既存商標は知的財産庁設立に先立って登録でき、その登録を済ませておけば他の誰かと争いが起きたときにより早い日付の登録日を示すことができるようになります。また、先使用主義に基づく主張も数年間はできるようにするということも検討されています。

現在使用している商標を既存商標としてなるべく早く登録すると以上のようなメリットが得られます。では、既存商標として保護されるために必要なことはなんでしょうか。以下の項目をチェックしてみてください。

①登録事務所における自社の社名やロゴの登録法下の登録は済んでいますか?

この登録がなければ既存商標としての優遇措置を受けることが非常に難しくなります。Office of Registration of Deeds(ORD)での登録がまだの場合は一刻も早く登録手続きを済ませましょう。

②商標公告(Trademark Caution)を新聞に掲載しましたか?

ミャンマーでは新聞への※商標公告の掲載が慣習的に長年行われてきました。この慣習に則り自社の商標公告を全国紙に掲載しましょう。また、その紙面を日付が分かるようにしてとっておきましょう。

※商標公告とは登録した商標について、使用する分類などと共に全国紙に掲載することで、自らの使用の意思を世間に広く知らせることです。

③当該商標の使用を示す日付入りの文書はありますか?

遅くとも優先登録開始前(知的財産庁オープンの6ヶ月前)までに商標を実際に使用していたことを証明しなければなりません。

証拠文書の例 ( 以下のような文書をなるべくたくさん用意するのがより安心です)
  • 消費者へのアピールとして新聞等に掲載された広告
  • 請求書、レシート(登録している社名やロゴが入っている)
  • カタログ(社名やロゴ以外にも日付等のクレジットが入っており、そのカタログの製作日(=その商標を使用した具体的な日付)が分かる)