TPP11に伴う日本の著作権法改正?、TPP11に伴う日本の著作権法改正?、TPP11に伴う日本の著作権法改正?に続く、最終回の今回は海賊版対策の一方、利活用の視点も重要であることにフォーカスして述べていきます。
著作権法の改正には、大きく2つの流れがあります。1つは著作権を強化するものであり、今回の改正や海賊版対策などがその一例です。もう1つは著作権を制限し、利用促進を図るものであり、2019年1月1日に施行された「権利制限規定の拡充」などがそれにあたります。
海賊版対策については、18年にサイトブロッキングの導入が議論されましたが、「通信の秘密」が侵害されるなどの強い反対意見もあり、立法化には至っていません。また、静止画ダウンロードの違法化については、違法化の対象が「海賊版」から「著作物全般」のダウンロードに拡大され、専門家や世論の反対も強まったことから、見直し協議がなされています。「アクセス警告方式」についても、懸念が示されています。
方法論についての検討は必要ですが、海賊版のように違法性が高い行為に対しては、規制強化が必要でしょう。さもなくばコンテンツの作り手が減少し、ひいては利用者もコンテンツを享受できなくなるといった悪循環が生じ得るからです。
一方、著作物の利活用の観点からは、権利処理を容易にし、あるいは、権利処理が必要な場面を限定していくことも必要です。著作権を強化していくことには弊害もあり、今後は、こうした利活用の視点がより重要となっていくことでしょう。両者のバランスを保てるような取り組みが望まれるところです。