【フィリピン:知的財産権局及び国際商標協会が知的財産について政策対話】
フィリピン知的財産権局(IPOPHL)は、世界的ブランド所有者組織及び大手知的財産法律事務所と協力し、偽造行為と闘うための行政措置を実行するという課題に取り組み始めた。
IPOPHLのTeodoro C. Pascua副局長は、「現在、国内外で問題が発生しているが、知的財産権保護のための仕組みを構築中である」と述べている。
政策対話は、IPOPHLの執行能力範囲内の権限を国際商標協会(INTA)の職員に付与するために行われた。人的資源の面で限界があっても、ブランド所有者と執行機関らとの積極的な調整努力が偽造及び海賊行為に有効であることを強調した。
知的財産執行室(IEO)の執行措置には、通知又は警告の発行、査察命令、コンプライアンス命令及び法執行機関への照会などがある。
Pascua副局長は、提起された問題に留意し、知的財産権に関する国内委員会の委員、ブランド所有者、法律事務所の間のより強力な調整を求めたが、知的財産法の改正法案は依然として議論が続けられている。
国家知的財産委員会(NCIPR)強化を目指す計画の中には、知的財産権の執行の範囲を広げるため、内国歳入局(BIR)と入国管理局を組み込むことも考えられている。
(フィリピン知的財産権局 2019年5月28日付記事参照)
【フィリピン:国旗の商用利用に関する定め】
6月12日はフィリピンがスペインから独立した記念日である。そのため、フィリピン国旗が国中の至るところに掲げられる。また、近年では国旗をデザインしたアクセサリーなども販売されるようになっている。
しかし、フィリピン国旗及び紋章法や知的財産法は国旗又は紋章を含む記号、あるいはフィリピンのいかなる記章も商標として登録することはできないと定めている。
商標登録を申請するということは、商取引で使用するためのシンボル/ロゴ/記号の独占的所有権を主張しているということだからである。ロゴが私有財産であることを宣言することは重要である。
知的財産法の123条1項(b)は、商標が「フィリピンの国旗、紋章若しくはその他記章又はそれらの模倣からなる場合は、登録可能と見做すことはできない」としている。
商標に関する限り、フィリピン知的財産権局(IPOPHL)は国旗の一部の要素のみであれば登録可能と見做すが、正確性に欠け、また国旗の改ざんを招くような修正を加えることはできない。
また、たとえ国旗が会社の商標ではなくアクセサリーのデザインとして使用されただけであったとしても、フィリピンの国旗及び紋章法に違反しており、商品として販売することは禁止されているとIPOPHLは呼びかけている。
(フィリピン知的財産権局Webサイト 2019年6月11日付記事参照)
【フィリピン:若者が知的財産を学ぶ機会としてサマースクールを開催】
フィリピン知的財産権局(IPOPHL)は世界知的財産所有権機関(WIPO)と知的財産に関するサマースクールを共催する。これはフィリピン初の試みであり、首都マニラにおいて2019年9月2日から13日までのおよそ2週間開催される。WIPO及びIPOPHLのリソース担当者や知的財産分野において著名な外部専門家による講演、知的財産に関するケーススタディ及びグループディスカッションなど多彩なプログラムが準備されている。
本プログラムは知的財産について若い世代の理解が深まることを目指し、あらゆる学問分野の大学院生、大学研究科生及び若い専門家を対象としている。
(IPOPHL 2019年7月3日付記事参照)
【フィリピン:知的財産権局によるフェアユース啓蒙に対する取り組み】
フィリピンは1994年の著作権法改正において米国型のフェアユース規定が導入されており、以下の4つの視点から判断がなされている。
・利用目的及び性質(利用が商業性を有するか又は非営利的教育目的かという点も含む)
・著作権のある著作物の性質
・著作権のある著作物全体との関連における利用された部分の量及び実質性
・著作権のある著作物の潜在的市場又は価値に対する利用の影響
著作権は、文学的、芸術的又は科学的な分野で生み出された全ての作品の権利所有者を法律で保護することを意味する。具体的には書籍及びその他の著作物、音楽作品、映画、絵画、その他のビジュアルアート、建築デザイン、コンピュータープログラム、その他の文学的および芸術的作品が含まれる。
フィリピンでは著作物に対する法的保護は作品が生まれた瞬間に与えられ、著作権を保護するための登録は必要ない。しかし、これは著作権の利用がどれだけ公正に行われるかという問題をもたらす。なぜなら現代においてはデジタル化により、他人の著作物を容易に利用できるからだ。
フェアユースの概念は法律専門家の間では常識だが、多くの一般的なフィリピン人にはあまり理解されていないのが現状だ。そこでフィリピン知的財産権局はウェブサイト上で広く一般の理解を求めている。
(IPOPHL Webサイト 7月2日付記事参照)
【フィリピン:知的財産権局、国家知的財産委員会によって偽造品や海賊版の取り締まりを強化】
政府の規制当局が禁制品の取引を撲滅するため、フィリピン知的財産権局(IPOPHL)は国家知的財産委員会(NCIPR)が偽造品や海賊版のオンライン販売及び流通を取り締まるように位置づける見込みだ。
これは、法執行者と検察官に向けて開催された2日間のワークショップと共にNCIPRの創立11周年を祝うため6月21日にセブで行われた会議の中心的議題であった。
「フィリピン知的財産権局(IPOPHL)は技術の進歩と革新を保護しているが、悪意を持った業者の中には技術の恩恵を広く一般に害を及ぼすものとして使用している者がいるという現実に真剣に向き合う必要がある。偽造品や海賊版のオンラインでの拡散は以前から問題となってきた。これに対処するには、政府機関が団結する必要がある」と、IPOPHLのJosephine R. Santiago事務局長は述べた。
「オンラインで販売される健康製品を禁止するために食品医薬品局(FDA)によって取られた措置を鑑み、我々も同様にオンライン仲介者との対話を積極的に模索するように奮起を促された」と、IPOPHLのTeodoro C. Pascua副局長は述べた。
この目的のために、IPOPHLは、デジタルメディアを通じた著作権侵害を含む知的財産権を侵害する商品やサービスの購入及び販売を目的としたオンライン機能の使用に対してより厳しく対処するために目指すところを明らかにし、加盟機関との調整を行う。
IPOPHLは、特に消費者問題と電子商取引の両方を対象とする貿易産業省とのパートナーシップを狙った、オンライン販売に対するキャンペーンを実施するには、協調的なアプローチが重要であると強調した。
1月から4月にかけて、提出され検証されたデータに基づいて、NCIPRは6億6,330万ペソの偽造品及び海賊版を押収し、前年同期の65億ペソから89%減少した。
製品の種類別では、65%を医薬品及びパーソナルケア製品が占め、ハンドバッグ及び財布が11%、時計及び宝石類は10.3%、衣料品及びアクセサリー類は4.2%を占めている。
Intellectual property Office of the Philippinesサイト 2019.06.20付記事参照