知的財産(IP)資産の商業化強化を目指し、タイは特許取得における人的資源の質を向上させるべきであると知財専門家は示唆している。
2019年の米国商工会議所のIP指数調査において調査対象となった50カ国のうち、タイは42位だった。「タイにとって最大の問題は特許弁理士の不足である。科学技術開発庁(NSTDA)の技術ライセンス局技術管理センターの上級IPコンサルタントであるOrakanoke Phanraksa氏は加えて「科学者、特許弁理士、製造業者の間では、ライセンス取得に関する知識と理解に不一致があることが多い」と報道陣に語った。
Orakanoke氏は、特許弁理士の育成により大きな予算を割り当てることを政府に対して求めた。
技術移転に関して提出された法案は、タイにおける知的財産資産の商業化の促進に役立つ。内閣によって可決された後に承認を得るため国務院に提出された。
「現在、政府出資の知的財産資産は、関連する政府機関と研究機関によって共同所有されている。本法案の下では、大学などの研究機関は知的財産資産の独自所有が可能になり、商業化過程をはるかに早めることができる」と彼女は説明した。
また、新政府は国の知的財産エコシステムの推進を継続すべきだと付け加えた。
米国商工会議所のGlobal Innovative Policy Centre(GIPC)の役員であるEllen Szymanski氏もOrakanoke氏に同意した。「我々はタイの知的財産エコシステムをさらに発展させるため、公的機関による継続的な努力を新政府に期待する。海外の投資家が知的財産に投資する際に最も重要視するのは政府が継続的に努力する姿勢を示しているか否かである」と彼女は述べた。
GIPCの2019年のIP指数は31.37%から32.22%へと上昇し、タイの知的財産体系の継続的な改善を示している。
上記を受け、「タイでは政府機関が知的財産問題にうまく対応できていることが見て取れる。しかし、知的財産資産の商品化の分野ではさらなる改善が必要である」とSzymanski氏は述べている。「強力な知的財産権保護の姿勢を取っている国内企業は、より多くのベンチャーキャピタル、海外及び民間からの投資を呼び込む可能性が高い」と彼女は述べ、「今後3〜5年の間に、公的機関がビジネス環境を改善するため知的財産規制改革を継続することを考えると、タイの知的財産体系は改善し続けていくだろう」と締めくくった。
(THE NATION 2019年3月25日付記事参照)