【商標Q&A:ベトナム】Q6. 商標登録にはどのくらいの期間を要しますか?

A: 出願から登録まで平均18~24ヶ月を要します。
出願日から1ヶ月以内に方式審査が行われ、審査後2ヶ月以内に出願公開が行われます。
その後、出願公開日から6ヶ月以内に絶対的拒絶理由及び相対的拒絶理由について実体審査が行われます。
実体審査を通過し、出願人が所定の手数料を納付した場合、ベトナム知的財産庁(National Office Of Intellectual Property=NOIP)は保護証明書付与の決定をし、登録簿に記入をします。

【商標Q&A:ベトナム】Q5. 登録出願時にはどのような書類が必要ですか?

A: ベトナム知的財産庁に対し、ベトナム語で記載した下記の出願書類を提出する必要があります。
なお、出願商標にベトナム語又は英語以外の言語を含む場合、願書にはそれらの単語や文字に音訳又は英語による翻訳文を添付する必要があります。

(1) 願書
(2) 商標見本及び指定商品又は役務の記載
(3) 手数料の納付済証
(4) 委任状(出願日より1ヶ月以内に原本提出)

以下は、必要な場合のみ
・優先権証明書
・団体商標又は証明標章の使用規則

【商標Q&A : ベトナム】Q4. 商標として登録できる、又は登録できないものはどのようなものですか?

A: 商標として登録できるもの
一又は複数の色彩で表示される文字、数字、言葉、絵、図形並びに立体又はその組合せを含む画像の形で表示される目に見える標章。
なお、商標権者の商品又は役務は、他社の商品又は役務と識別できるものでなければいけません。

◆商標として登録できないもの
(1) 色彩
(2) 国旗、国章
(3) 組織の名称、旗、記号
(4) ベトナム又は外国の指導者や著名人の名称又は肖像
(5) 商品又は役務の質や原産地等で消費者に誤認又は混同させ、又は消費者を欺く可能性のある標章。

【商標Q&A:ベトナム】Q3. 商標登録の手続きはどのような流れとなりますか?

A: 商標登録の流れは5段階となります。
なお、商標出願書類は、ベトナム知的財産庁(National Office Of Intellectual Property=NOIP)本庁又は代表事務所に直接提出することができます。出願人は、出願書類をNOIP本庁又は代表事務所に書留郵便により送付して提出又はオンライン出願も利用可能です。

(1) 出願
(2) 方式審査
(3) 出願公開
(4) 実体審査
(5) 登録

【ベトナム:専門家がベトナム企業に知的財産権保護を要請】

ベトナム企業は知的財産(IP)登録に十分な注意を払っていないため、意匠や商標が海外で侵害されていると関係者は述べている。この問題解決のため、ベトナム商工会議所(VCCI)はベトナム知的財産局、ベトナム知的財産協会(VIPA)、国際商標協会(INTA)と共に「ベトナム企業のための意匠と商標の保護」会議を共催した。
2019年7月5日、VCCI会長であるV]TiếnLộc氏は会議の席上において「ベトナム企業は世界的な市場で多くの課題と困難に直面している。Bến Treのココナッツ、Phú Quốcのナンプラー、BuônMêThuộtのコーヒーなどのベトナムの意匠や商標が外国企業によって盗用されているからである。これらを取り戻すには多くの時間と費用がかかる」との意見を述べた。
「ベトナム企業が世界の知的財産法を尊重し、世界市場におけるベトナム製品の競争力向上を目指し、自らの知的財産を保護するべきと認識している。本会議を通じて、我々は外国企業に学び、商標登録のための信頼できるプラットフォームを見出し、商標保護の分野でベトナム企業を支援する外国の専門家と協力する機会を模索する」とLộc氏は述べた。
また、世界知的財産権機関(WIPO)のASEAN地域事務所ディレクターであるDenis Croze氏は、以下のように述べた。
「市場のグローバル化とインターネットにより可能になった、国境を越えたデータフローは、企業と消費者に新たな機会を提供している。だからこそ、特許、商標、意匠などの知的財産権を保護することが重要である。知的財産資産の開発、保護及び管理において企業が実装しているスキルは将来的にどれだけ成功するかを示す良い指標である。今後、無形資産が重要なビジネス価値を表すようになっていく経済環境において、知的財産は極めて重要だ。また、国際知的財産制度が全ての人にとって革新と創造性を可能にすることも非常に重要である」。
会議中、海外からの専門家は、意匠の国際登録に関するハーグ制度及び商標の国際登録に関するマドリッド制度を紹介した。
「WIPOとベトナム知的財産権局間の電子通信、法律及び手続の改正など、いくつかの法的かつ実用的な問題に関して、やるべきことは残されているが概ね完了しており、ベトナムがこれらの登録システムに加わる日も近いだろう」と、Croze氏は意欲的な姿勢を見せた。
アジア太平洋国際商標協会事務局のSeth Hays氏は今回の会議の重要性を高く評価し以下のように称賛した。
「本会議は国境を越えた知的財産機関間の橋渡しとなり、海外において知的財産権を保護するための最も効率的なツールをベトナム企業に提供するだろう。商標により、迅速で安全な購買決定が可能になり、競争と革新が促進されるに違いない。情報を共有することで、ブランドやデザインなど最も価値のある無形資産が海外において保護されることを保証できるようにもなる」。
(Viet Nam News 2019年7月6日付記事参照)

【ベトナム:改正知財法が11月より施行】

2019年7月4日、大統領はハノイで記者会見を開き、第14回国会の第7回会合で採択されたつの7法律の公布に関する大統領命令を発表した。
その7つの法律のうちには知的財産法も含まれており、多数の条項の改正及び補足に関する法律が2019年11月1日から施行される予定だ。
今回の改正は発明、地理的表示、商標及び知的財産保護に焦点を当てているという。
(Viet Nam News 2019年7月5日付記事参照)

【ベトナム:12年間の訴訟の末、ベトナムで最も長く続いている漫画の登場人物の著作権を作者が獲得】

2019年2月18日、ホーチミン裁判所は、子供向け漫画の4人の登場人物に対する知的財産権をその作者のみに認めるという画期的な判決を下し、12年間注目されてきた訴訟を終結させた。
訴訟は、ベトナムの子どもたちを魅了してきた「Than Dong Dat Viet」シリーズの4人の登場人物に対する作者Le Linh氏の権利を争点としてきた。
2002年に初めて出版された同漫画は、ベトナムで最も長く続いている漫画シリーズと考えられており、判決当時は226巻まで出版されていた。
2007年4月、漫画家Le Linh氏が「Than Dong Dat Viet」の共同制作者Phan Thi氏に対する訴訟を起こし、自身が漫画の登場人物の唯一の創作者として認められるよう求めた。また、2005年以降に共同制作関係を解消した後も、Phan Thi My Hanh氏が別の漫画家に登場人物を描かせコミックを新たに出版し、知的財産権を侵害したとして非難した。
Phan Thi My Hanh氏は自分の頭の中で既に視覚化及び概念化した登場人物をLe Linh氏との共同作業内で具体化しただけだと主張した。
しかし、裁判所はこの訴訟について、Le Linh氏が漫画の登場人物の唯一の創作者であり、Phan Thi My Hanh氏は共同創作者にすぎず、Le Linh氏の同意なしにキャラクターを描いたり修正したりすることで同氏の権利を侵害したとの判決を下した。
判決によると、Phan Thi My Hanh氏が役員を務める出版社はLe Linh氏によって作成された登場人物を使用した新しい作品の制作を中止し、訴訟に関連するLe Linh氏の弁護士費用を支払い、新聞で公式の謝罪をすることを命じられた。
(Tuoi Tre news 2019年2月19日付記事参照)

【ベトナム:偽造書籍との闘いへのより高い意識の鍵は厳格な罰】

ベトナムにおける書籍偽造の問題は深刻である。コピーやスキャンによって露骨に偽造された偽造書籍がオンライン上に溢れている。オリジナルより安価で手に入るとなれば、海賊版を選ぶ消費者も少なくない。ベトナムにおいて、書籍は「公共の」資産であるという考えが根強く残っているため、消費者は違法コピーである偽造書籍を違和感なく受け入れている。
偽造書籍として最も危険だと考えられているのは、当局からの許可を全く得ずに出版されたもの又は当局によって登録及び承認された内容とは無関係の内容のものである。これらは慎重な推敲及び編集の過程を経ておらず、書籍の品質が保証されていない。よって、誤解を招く情報を掲載するかもしれず、読者の知識や考えに影響を及ぼす可能性がある。
また、印刷会社によって追加コピーされたものも大量に出回っている。勿論違法だが、オリジナルのおよそ半額で販売できるので需要も多く、この手の偽造書籍を販売する印刷会社が後を絶たない。これは知的財産権を侵害するだけでなく、出版社や作家が時間とリソースを使って上質な作品を生み出すことを妨げ、出版社の収益や利益に大きな影響を与えるだろう。ひいては出版業界全体を損なう可能性もある。
現在、偽造書籍の出版又は販売に関与した者は行政罰金のみで処罰されており、その金額は偽造書籍から得られる利益と比較してあまりにも低額である。罰金を支払ってもなお多額の利益が残るとなれば抑止力としては全くもって不十分である。
これらの行為は犯罪として処理されるべきであり、責任を問われた企業にはライセンスの取消など、厳しい処罰がなされるべきだ。また、偽造書籍の製造、販売、保管は偽造行為と同等の行為とみなされなければならない。情報保護機関は適切な措置を講じるため、問題のあるWebサイトを徹底的に監視及び調査する必要があり、裁判所はより適切な判決を下すようにせねばならない。また、報道機関は偽造品や偽造書籍に対する国民の意識を高めるように努めなければならないだろう。
(Viet Nam News 2019年7月1日付記事参照)