【商標Q&A:タイ】Q18. 商標権侵害に対してどのような救済がありますか?

Q18. 商標権侵害に対してどのような救済がありますか?

A: 商標権侵害に対しては、刑事告訴、民事訴訟及び税関差止による救済があります。

商標出願から登録までは 1~2 年程度かかるため、外国企業がタイでの商標権を未取得の場合、非登録商標の保護に刑法の規定を活用することがよくあります。民事訴訟よりコストが安い上に、違法行為や不正流用による商業活動であることを立証するだけで良いので侵害判断が容易で、簡単かつ迅速であることが理由として挙げられます。

加えて、タイは私人訴追主義であるため、商標権者自らが商標権を侵害した人に対して刑事告訴することができます。商標権者が、検察官と共に共同原告として裁判へ参加することができるので、侵害品が処分されたことまで確認できます。 また、非登録商標であっても適用されます。

【商標Q&A:タイ】Q17. 商標権侵害の対象外となる行為はありますか?

Q17. 商標権侵害の対象外となる行為はありますか?

A: 下記のような行為は、侵害とみなされません。

  • 姓名、名字、営業所在地名の善意での使用や、前任者の事業におけるこれらの善意での使用、又は商品の性質や品質についての記述を善意で使用 する行為(第47条)
  • 並行輸入する行為(最高裁判所判決 No.2817/2543 2000年)
  • 模倣品での詐称やパッシングオフ(※)の場合を除き、非登録商標の侵害に対する差止や損害賠償は請求できない(第46条)

※パッシングオフ(Passing off):非登録商標について、侵害者に悪意等の理由があることを立証できる場合、イギリス法体系のコモンロー上の権利であるパッシングオフと同様の保護を受けることができるというものです。

【商標Q&A:タイ】Q16. どのような行為が商標権の侵害とみなされますか?

Q16. どのような行為が商標権の侵害とみなされますか?

A: 商標法が規定する商標権の侵害とみなされる行為は下記の通りです。

  • 商標権者の承諾なく、登録商標が登録された商品又はサービスにおいて、 登録商標を使用する行為 (第44条)
  • 他人の登録商標を偽造する行為(第108条)
  • 他人の登録商標と誤認させるように模倣する行為 (第109条)
  • 偽造又は模倣した他人の登録商標を付した商品の輸入、販売、販売の申出、 販売目的で所持する行為(第110条(1))
  • 偽造または模倣した他人の登録商標を使用し、サービスの提供やサービスの 申出する行為 (第 110条(2))

【商標Q&A:タイ】Q15. 商標権の侵害に対してどのような対応ができますか?

Q15. 商標権の侵害に対してどのような対応ができますか?

A: 登録商標と未登録商標は、法の下に保護されています。(登録商標:商標法BE2534、未登録商標:刑法第272~275条並びに商標法BE2534第46条第2項) 商標権者は、侵害を差し止めるとともに、損害の賠償を請求することも可能です。また、権利行使のために民法、商法、消費者保護法、薬事法、工業製品規格法、その他の関連法規を利用することができます。違法行為について、検察官と商標権者は裁判所に直接提訴するか、或いは警察署に提訴することにより侵害者に対し刑事告訴を起訴することができます。侵害者には、刑罰が科せられます。(商標法 第107~116条)

【商標Q&A:タイ】Q14. タイで既に登録されている商標を確認する方法はありますか?

A: 下記の方法があります。

(1) Thailand Trademark Database https://www.wipo.int/branddb/th/en/

タイ知的財産局(Department of Intellectual Property, Ministry of Commerce=DIP) のオフィシャルデータベースで検索できます。

商標データベースは、以前は利用登録制で有料かつ利用者はタイ居住者のみに限定されていましたが、これらの制限は解除されました。但し、データベースの言語はタイ語のみです。

(2) ASEAN TMview http://www.asean-tmview.org/tmview/welcome

アセアン9か国の商標を検索できます。収録国は、ブルネイ、インドネシア、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムです。

(3) FOPISER(フォピサー) https://www.foreignsearch.jpo.go.jp/

日本の特許庁が提供する外国特許情報の照会サービスで検索できます。

【商標Q&A:タイ】Q13. 商標権の存続期間はどのくらいですか?

A: 出願日から10年間保護されます。

10年毎に更新することができ、更新をすれば永久に存続することができます。但し、存続期間満了前90日以内に更新登録出願をしなければなりません。

登録商標は出願日に登録されたものとみなされます。

また、存続期間中であっても、無効理由が発見され審判によって無効となることもあります。

【商標Q&A:タイ】Q11. 商標の登録にはどのような費用が発生しますか?

A: 区分内商品種類一覧により、出願数及び支払うべき公的費用が決まります。商標出願費用は出願時に指定する1商品/役務毎に1,000THB(商品が5種類以下の場合)、保護を求める商品/役務が6種類以上の場合9,000THBです。[1] [2]

(1) 出願料金

  • 1指定商品/役務当たり(1区分) 1,000THB
  • 6指定商品/役務以上(1区分) 9,000THB(最大)

(2) 異議申立料金   2,000THB

(3) 登録料金       

  • 1指定商品/役務当たり(1区分) 600THB
  • 6指定商品/役務以上(1区分) 5,400THB(最大)

(4) 審判請求料金   4,000THB

(5) 更新出願料金  

  • 1指定商品/役務当たり(1区分) 2,000THB ・6指定商品/役務以上(1区分) 18,000THB(最大)

【商標Q&A:タイ】Q10. 商標の出願にはどのような書類が必要ですか?

A: 下記の書類が必要です。

  1. 願書
  2. 商標見本
  3. 委任状

なお、出願人の署名と署名の公証が必要です。タイ大使館又は領事館による認証は必要ありません。

署名済みの委任状の写しで出願し、公証された委任状を後で追完することも可能です。その場合、方式審査(出願日から約7~8ヶ月以内)の実施前に提出しなければなりません。

※以下は審査官から要求があった場合のみ

・優先権証明書(要求日から90日以内)

【商標Q&A:タイ】Q9. 商標の出願にはどのような手続きが必要ですか?

A: 出願すると、まず方式要件(商標見本・商品・サービスの表示、出願料金納付等)が審査されます。不備があると補正指令が出るので、出願人は指令発行日から90日以内に補正します。
次に、絶対的登録要件の審査があります。審査の結果、要件を満たしていると判断された場合、出願内容が公告されます。公告日から90日以内は異議申立が可能です。
異議申立が無い場合、又は異議申立があっても異議申立の理由が無いと決定された場合には、特許庁から登録すべき旨の通知が出願人へ送付されます。
出願人は当該登録通知日から30日以内に登録料を納付しなくてはなりません。納付後、商標は登録され、登録証が出願人に送付されます。
出願が最終的に拒絶された場合、査定通知発行日から90日以内であれば出願人は当該拒絶査定に対する審判請求ができます。
一方、登録要件を満たしていないと判断された場合は、特許庁は拒絶理由通知を発行します。出願人は、拒絶理由通知の発行日から90日以内に意見書・補正書を提出することができます。補正書等の提出によっても、拒絶理由が解消されていないと判断された場合、最終的に出願は拒絶されます。