デジタルストリーミング社会の到来により、誰もが音楽を自身のスマートフォンなどに気軽にダウンロードして楽しめるようになった。しかし、容易になったからこそ海賊行為も増加している。また、権利関係の複雑さから楽曲制作者等に対して充分な報酬が支払われない場合も多々ある。タイではこれらの問題に対処するため、新しい技術であるブロックチェーン(分散型台帳)に注目が集まっている。
ブロックチェーン技術において、音楽愛好家は少額の手数料のみで楽曲を直接ダウンロードすることができ、その収益は楽曲制作者等に直接もたらされる。この新技術を取り入れることで楽曲購入以外にも徴収、分配履歴など改ざんが困難な形で一連の処理を最初から記録することが可能になる。
ブロックチェーン技術の使用により、楽曲制作者等はレコード会社などの仲介者を通すことなく楽曲を配信できるようになる。そしてその楽曲には固有の番号が付与され、スマートコントラクトが適用される。その後、スマートコントラクトはインターネット上で検索を実行し、曲の違法な複製を検出し著作権侵害行為を直接排除する。
以上のように、「音楽業界における著作権侵害の根絶」がブロックチェーン技術によって実現可能になると目され、全ての楽曲制作者等が正当な報酬を受け取れるようになるための特効薬になり得ると期待されている。
(Bangkok Post 2019年1月22日付記事参照)