【商標Q&A:タイ】Q.7 商標は一出願で複数区分の指定商品等の出願は認められますか?

A: 2016 年から、1つの商標を複数の区分に渡る指定商品又は役務について、出願できるようになりました。
しかしながら、出願後に区分毎へ分割することは認められていないため、複数区分を含む出願が一部の区分に対して拒絶を受けた場合、拒絶を受けなかった区分の登録手続を先に進めることができません。

【商標Q&A:タイ】Q6. 商標として登録できないものはありますか?

A: 下記のような商標は登録できません。

(1) 自社の商品・サービスと他社の商品・サービスを区別させる機能がない場合。但し、この機能がないと判断された商標であっても、長年商標が使用された結果、特別顕著性が生じていることを出願人が立証した場合には識別力が生じたものとみなされます。
(2)標章が国家の紋章や王室の印章、公の記章と同一又は類似する場合。
(3) 標章が、タイの国旗、外国の国旗や国際機関の旗章等と同一又は類似する場合。
(4) 標章が、公序良俗に反する場合。
(5) タイ国における著名商標と同一の標章である場合。
(6) 他人の業務に係る商品等と混同を生じるおそれがある商標と同一又は類似する場合。

【商標Q&A:タイ】Q5. 商標として登録できるのはどのような標章ですか?

A: 写真、絵画、創作された図、ロゴ、名称、語句、文、文字、数字、署名、色の集合、物体の外形もしくは形状、音、又はそれらの一つもしくは複数が結合したもののうち、次に該当するものは登録することができます。
(1)「識別性」のある商標
(2) 本法に基づき禁止されていない商標(※)
(3) 他人が登録した商標と同一又は類似でない商標
※禁止されている商標は、タイ商標法 第8条で定められており、次項で詳細を説明します。

【商標Q&A:タイ】Q4. 外国人が知的財産権を取得することはできますか?

A: タイに非居住の出願人は、タイ在住の弁理士の資格を有する代理人を選任する必要があります。但し、商標については、弁理士の資格を持っていなくても、タイに事務所や住所がある人であれば出願代理が可能です。
出願言語は特許及び実用新案はタイ語又は外国語で、外国語で出願する場合は出願日から90日以内に翻訳を提出しなければなりません。意匠及び商標はタイ語でのみ出願可能です。

【商標Q&A:タイ】Q3. 知的財産関連の主な条約への加盟状況を教えてください。

A: 加盟している条約又は機関は、下記の通りです。()内は加盟年

(1) パリ条約(Paris Convention)(2008)
(2) 特許協力条約(Patent Cooperation Treaty=PCT)(2009)
(3) 世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization=WIPO)(1989)
(4) 世界貿易機構(World Trade Organization=WTO)(1995)
(5)国際商標登録に関するマドリッド協定に関する議定書(Protocol Relating to the Madrid Agreement Concerning the International Registration of Marks)(2017)

【商標Q&A:タイ】Q2. 知的財産の所管省庁はどこですか?

A: 「タイ商務省 知的財産局」(Department of Intellectual Property, Ministry of Commerce=DIP)です。知的財産権の保護及び侵害の抑制のための措置の実施、知的財産権の管理システムの構築並びに知的財産権の重要性の啓蒙活動等を目的とし、1992年に設立されました。
一方、国境における模倣品の取り締まりは「タイ税関局(検査及び取り締まり部門」(Customs Department, Investigation and Suppression Bureau)が担います 。
また、「タイ知的財産及び国際取引中央裁判所」(The Central Intellectual Property and International Trade Court=CIPITC)が知的財産と国際貿易に関する紛争の迅速かつ適正な手続の提供のために、アジアで最初の知的財産の専門裁判所として1997年12月1日に設立されました。
他にも下記のような関係団体があります。

◆経済警察 Economic and Cyber Crime Division=ECD
◆特別捜査機関 Department of Special Investigation=DSI
◆国家科学技術開発機関 National Science and Technology Development Agency=NSTDA
◆タイ科学技術研究所 Thailand Institute of Scientific and Technological Research=TISTR

【商標Q&A:タイ】Q.1 知的財産に関する法律は何がありますか?

A: 主な法律は下記の通りです。
・著作権法(Copyright Act)
・商標法(Trademark Act)
・特許法(Patent Act)
・集積回路の回路配置保護法(Protection of Layout-Designs of Integrated Circuits Act)
・営業秘密法(Trade Secrets Act)

他に、下記の保護法があります。
・CD製造法(CD Product Manufacturing Act)
・植物新品種保護法(Plant Varieties Protection Act)
・地理的表示保護法(Geographical Indications Protection Act)
・伝統医薬および知識の保護と促進に関する法律(The Protection and Promotion of Knowledge on Thai Traditional Medicine Act)
なお、特許法には、小特許及び工業意匠が含まれます。

【タイ:大麻の外国特許請求を取り消す】

1930年代まで痛みと疲労を和らげるために伝統的に大麻を使用してきたタイの国会で、大麻使用について海外の特許要求の全てが事実上無効にされた。
コロンビアからカナダまでの国々は医療用あるいは娯楽用として大麻を合法化しているが、依然として東南アジアの大部分の国においては違法で禁忌である。
しかし、タイでは、法改正前に英国の大手企業GW Pharmaceuticals社及び日本の大塚製薬という外国企業2社による特許請求に関連して大麻の合法化についての議論が巻き起こった。
タイの市民社会団体や研究者は、外国企業が特許を取得することでタイ患者の医薬品入手及びタイの研究者の大麻抽出物の入手が困難になることを懸念していた。
政府は知的財産局が90日以内に大麻を含む全ての係属中の特許を無効にするか、又はそれらの特許から大麻を削除することを可能にする特別行政命令を出した。
麻薬法の改正を担当する国会議員であるSomchai Sawangkarn氏はロイターに対し、「係属中の特許請求は違法である」と述べた。
「本特別行政命令は独占的な契約を妨げるので、全国のタイ人にとって有益である」と彼は国家秩序評議会で述べた。
申請を保留している企業は、知的財産局に上訴することができると政府は公式ウェブサイトに掲載された命令で述べた。
(タイ知的財産権局 2019年1月28日付記事参照)

【タイ:バンコクで458点の偽造品が押収される】

2019年6月10日から16日の間、タイ知的財産局(DIP)及び経済犯罪抑制部の職員並びに海外ブランドの代表がバンコクの各地域を視察した。
プラトゥーナム市場では、グッチ、シャネル、バレンシアガ、ルイヴィトン、イブサンローランを含む145点の偽造品を押収し、容疑者を逮捕した。
スクンビット地区では、ルイヴィトン、ディオール、シャネル、エルメス、フェンディ、イブサンローラン、プラダ、ブルガリ、カルチェを含むブランド品のイヤリング、ブレスレッド及びハンドバッグの偽造商品235点を押収した。
シーコンスクエアモールでは、エルメス及びルイヴィトンのハンドバッグ、時計、ブレスレッド、キーホルダー、ベルトなど78点の偽造品を押収し、2人の容疑者を逮捕した。
(タイ知的財産権局Webサイト 2019年6月26日付記事参照)